リアルワールドエビデンスの裏側

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慢性の痛み政策研究事業(令和4年度厚生労働科学研究)

【背景】

多くの国民が抱える慢性の痛みが QOL の低下を来す一因となっているという背景から、「今後の慢性の痛み対策について(提言)」(平成 22 年9月、慢性の痛みに関する検討会)に基づき総合的な痛み対策を遂行している。「ニッポン一億総活躍プラン」および骨太方針に慢性疼痛対策が取り上げられるとともに、「慢性の痛み対策議員連盟」も立ち上がり、今後政府としてもより一層の対策の充実が求められている。
慢性の痛みについては、器質的要因だけでなく、精神医学的、心理的要因からの評価・対応も必要であるため、診療科横断的な多職種連携体制で、認知行動療法を含めた多角的なアプローチにより診療をおこなう痛みセンターの構築を進め、現在全国 23 箇所まで拡大するなど、着実な成果を上げてきている。また、平成 29 年度から、痛みセンターと地域の医療機関が連携し、地域において適切な慢性疼痛の診療を受けられる体制を構築するための「慢性疼痛診療システム構築モデル事業」を全国3箇所で開始し、平成 30 年度は8箇所に拡大して、令和元年度まで継続した。令和2年度以降はこの体制を活用した「慢性疼痛診療システム普及・人材養成モデル事業」の実施、痛みの診療について実践可能な人材の育成、地域の医療提供体制へ慢性疼痛診療モデルの展開を行う。地域での慢性疼痛の医療体制を構築、充実化し、また全国に均てん化することで、慢性の痛みの医療を向上させ、患者の療養生活環境整備や QOL 向上に資する成果を上げることが期待される。

【事業目標】

本事業では、痛みセンターを中心とした診療体制構築・充実、痛みセンターでの診療に関するレジストリを活用したガイドライン等の作成、さらには、疾病の原因、予防法の検討及び疾病の診断法・客観的評価法の開発、就労支援、普及啓発、疫学研究等を実施し、慢性の痛みに悩まされている患者の QOL の向上、診療の質の向上を目指す。

【研究のスコープ】

地域における慢性疼痛対策の進捗管理・課題抽出
ガイドラインやマニュアル等の作成
慢性疼痛診療体制の充実・普及・実装

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